A-KIBA BOOKSのフリーノベルは、広告収入で運営されております。作品を読んで面白いと思われた方は、リンクのクリックをお願いします。


バスターアリス
第3回
text なか まこと / Illust & 原作 杉本ニトロ


 さほど歩かないうち、辺りには木々が目立つようになり、夕暮れが訪れた。暗さが増してくるとジョーは焦ったように宿を決めた。

「どうしたジョー、歩き疲れたのか?」

「あ、ああ。ボクは夜行性じゃないんで」

「ふ〜ん、ウサギって夜行性じゃないのか」

「ボ、ボクはただの…あ〜ぁ疲れたなぁ、アリスもゆっくり休むとイイよ、じゃお休み。」

「オヤ、ス、ミーって、あいつどこで寝るんだ?…ウサギ小屋でもあんのかな。まーどーでもいーけど……疲れたってほど、で、も…!?んじゃこりゃああああああ」

 宿に着いてからも気がそぞろで、話の途中からドアに向かい、言い終わるなり廊下に消えたジョーをいぶかりながら、鏡の前に立ったアリスは驚いた。写っているのは長い金髪を超でかいリボンでポニーテールに結った、肩先だけ提灯袖のメイド姿の少女なのだ。

 髪を思い切り引っ張ってみた。

「イテテっ。ヅラじゃねえなぁ、痛いってことは…夢でもない?…いや夢だ夢だっ」

 アリスは服を着たままベッドへ横っ飛びに飛び乗り、枕で顔を覆っているうち……記憶の断片が蘇ってきた。

 それとはアリスが意識を取り戻したときの光景だ。視野一杯に広がり見える少女の顔。心配げに見下ろし何か叫んでいる。いつしかアリスも心の中で

「ア、アキラ、だよな。…なんて言ってるんだ?ん?ト ォ・…トォ・…聞こえねーよ、もっとはっきりっ。あーー鼓動が邪して…」

 不意に冷たい風が腕をよぎった。枕を振り払うとそこにはゴリラを連想させる巨体のミイラ男が、今まさにマサカリを振り下ろそうとしている。アリスはベッドの反対側に転がり降りると下に潜り込み武器になりそうな物を見回したが、有るわけもない。だがその視界に、ドアの隙間からのぞき込んでいたジョーの顔が消える瞬間を捕らえた。

「なんなんだあいつ。敵なのか?」

 ミイラ男がベッドの下へマサカリを突っ込んできた。「チャンス!重い長物は足元が弱点だ。しかもあの体勢から攻撃までに時間が出来る」そう踏んだアリスはミイラ男側へ滑り出るなり斜め下から当たりを食らわせた。

案の定、中腰でマサカリを引き抜こうとしていたミイラ男はもんどり打った。しかし意外に身が軽く、反撃してきた。うなりを上げて振り下ろされたマサカリがアリスの頭上に迫る。部屋中に鈍い振動が伝わった。

 哀れアリスは真っ二つか!?しかし次の瞬間、丸太のように背中から床に落ちていくのはミイラ男のほうだった。攻撃を見切ったアリスが、振り下ろされたマサカリの柄を踏み台に放った飛び膝蹴りが、ミイラ男のあごを見事に打ち砕いた。「とどめ」と、そこへ、まばらな拍手の音が聞こえてきた。

 窓に目をやると、ベランダの柵に腰掛けたアリスと同じ年頃の少年が満足げな表情で

「強いねー、見込んだとおりだ」

 戦闘の興奮を残した勢いで窓を開けたアリスは

「誰だ!お前はっ。お前の差し金かっ!!」

「まーまーそー興奮しないで。…驚いた?」

「驚くも何も、殺す気だったのかっ!」

「ごめんごめん、ちょっとしたテストのつもりだったんだけど…」

「なんだとーこっちは殺され掛けたんだぞ。つーか誰なんだよお前!」

 少年は大きめの蝶タイとチョッキを指さし部屋に飛び込みながら

「あれれ鈍いなー。コレで分からない?ウサギのジョーだよ、ホラっ」

 今度は頭の上に突き出した「ウサ耳」を指さした。

「実はオレ、元々は人間だったんだけど、大魔王の呪いでウサギに変えられてしまったんだ。この呪いを解く方法はただ一つ!!大魔王を倒すのみ!!そこで選ばれたのがアリス!キミなんだ!!」

「な、な、すと罠にハメたのは、お、お前だったのかっ。オレなんか巻き込まねえで自分でやりゃーイイじゃねえかーっ」

「それが出来ないからキミを選んだんだ。この恰好になれるのは、月が出ている僅かな条件のときだけで…あと…ほら」

 ジョーはアリスの手を取り胸にあてがった。

「ジョー、お、お前っ。し、心臓がっ、う、動いてない。てか…無いのか?」

「そうなんだ、これを取り戻すためにもキミが元の世界に戻るためにもアリス、キミの…」

「わ、分かった。協力する。で?どうすれば」

「大魔王にたどり着くには4つの鍵が必要なんだ。それぞれの鍵には独特な技を持つ手強い番人が付いていて、宮殿に近い奴ほど強くなる…しかもキミには一千万円の賞金が掛かってるから鉄壁の守りと最大級の攻撃で…」

「そりゃ厄介だなぁ…でもやるきゃないだろ!!」

 アリスとジョーの壮大な冒険の幕が切って落とされた。

 
  −−−ひとまずおわり  




この後のアリスの冒険の全貌は下記サイトに☆ 


SNSマンガ読もっ!

マンガ市場ドットコム

FULLMOONHEAD


WebコンテンツTop キャラクター紹介 第1回