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テンプレート?・ラヴ 第2話
text 深瀧ほくと / Illust たま
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蔵橋高校の某教室…相当髪の短い女生徒が、味潮崎つくねと並んで座っていた。
「久良枝〜、ボーイフレンドとか恋人とかってどうすればできるの」
そんな、つくねのあまりな質問に、数野湖久良枝は呆れながらも丁寧に答えた。
「う〜ん、態度とか、振る舞いはまず大事よね。それに、装いとかも…」
つくねは久良枝のアドバイスを身を乗り出して聞いていた。
久良枝の話が終わり、つくねは、生半可かちゃんと理解したかは判らぬが頷くと、
「これが『モテ』へのバイパスロードねっ!」と叫び、駆けだしていった。
久良枝は、心の底にわだかまりを残したような表情だった。
「(なんだいな、つくねのドアホ。いつもそばに男がいるクセに、男縁のない私に
『モテ』についてたずねるんじゃねえ、このすっとこどっこい!)」と、
自らの男運のなさを嘆くようでもあった。
そして、1週間ほど後…
つくねが自分の写真にいろいろな服を着せた合成写真を何枚か持ってきた。
「1、巫女さん」
つくねの頭の中に…
<『お兄さん、大吉のおみくじを落としましたですよ〜』
振り返る23、4歳のハンサムな青年…
『あ、お嬢さん、巫女さんの仕事大変ですね』
『いえ、別に全然大変じゃありません。私はやりたくてやっているバイトですから』
青年は、巫女姿のつくねに惚れた……>
……という感じで、恋への予感を期待させる出会いの瞬間のイメージが思い浮かび、そのイメージを久良枝に話したが…
「そうそう大吉のくじなんて落とさないはずよ。それにつくね、あんたもしそのくじが『大凶』だったら、落とし主に渡す勇気あるの?」
凍り付く、つくね。
「さ、さすがに『大凶』は渡せない」
気を取り直して…つくね、次は…
「2、猫耳」
つくねの頭の中に…
<『私、寂しいニャ。寒いのがとても苦手なのニャ。だから、誰かあたしを暖かい場所につれてくださいニャ。お願いニャ』
目をうるうるさせて待ち人を待つ…>
一方、久良枝の頭の中では…
<フテ寝する猫耳つくね。食事くれという意思をちらつかせながらも、傲慢な態度で飼い主、いや、ボーイフレンドに要求。最初のうちはそれなりに言うこと聞くも…それが長続きして『このバカ猫!!』と怒鳴り、猫耳つくねの尻尾を引っ張る。>
「どうかな、成功するかな…」とつくね。
「やめといたほうがいいんじゃないの〜」と久良枝。
つくねはため息を思いきりつき、視点を宙に泳がせながら、ぼそっとした口調で、
「猫耳は、彼氏を作るの向きじゃないもんねぇ」と、一言。
「猫がダメなら、犬ならどう?」久良枝はつくねに言った。
「却下」つくねは一刀両断だった。
気分を変えて、つくね、が言う前に、久良枝がつぶやく。
「2’、獣耳」
久良枝の頭の中に…
<うさ耳つくね、なぜかウサギ跳びをしている。往年のスポコンアニメ・漫画を彷彿とさせるシーン。『最強のバニーガールになるんやっ!』なぜかつくねは関西弁でしゃべっていた。>
「どうや、この…」久良枝がつい思わず独り言的になってつぶやいた。
「な、なぜ、関西弁!?」久良枝のつぶやきに焦りツッコミのつくね。
それにもかまわず、久良枝は、獣耳つくねのイメージを膨らませていく…
<タヌキ耳つくね。狐に敗れて大恥。葉っぱを頭に乗せてもうまく化けられない。>
<ハムスター耳つくね。どう見ても尻尾のないネズミのコスプレ。>
「まあ、どのみち獣耳だったら、いじられて終了って感じね。私は想像するのを楽しませてもらったけれど」身もフタもない久良枝の一言。
「わ、私は獣耳まで合成写真にしてません…」
つくね、滝涙。
改めて気分を変えて、つくね、次には…
「3、バニーガール」
つくねの頭の中に…
<『プラカードって、結構ウェイト掛かるのね。これって、長い間持ち上げていると…うんしょ。筋トレみたいになりそうだわ、これ』
『お嬢さん、若いのにこういう大変なことを…』
『いえ、おじさま、私が好きでしている仕事ですので…』>
一人で思いにふけっているつくねに冷や水浴びせかけるように久良枝が一言。
「この太い二の腕ですか? ヘッドロックかましたら素敵な殿方もイチコロになるまで鍛え上げました。自慢の筋肉です…」
つくねが久良枝を怒鳴った。
「こらーっ!!! 他人(ひと)をマッチョ女にするなーっ!」
「えへへへへっ」久良枝が苦笑い気味な笑い声をたてた。
つくねは、会話の続きを想像する。
<『こんな細腕なのに感心だなぁ』ナイスミドルの男の一言。
『うふふ』恥ずかしそうに笑うつくね。>
「でもやっぱりプラカード掲げ続けていたら太腕になりました〜!」
とことん意地悪な発言の久良枝。
「そんなに徹底的に私をマッチョにしたいのかーっ!!!」
つくね、再度、久良枝を怒鳴る。
気を取り直して、つくねは、次に…
「4、フリフリドレス」
つくねの頭の中に…
<くるくる回って華麗に映える自らの姿をイメージするつくね。>
「回る回るよ、くるくる回る〜」つくねはつい口ずさんだ。でも歌詞が違うようだ。
「お目々が回ってぱったり倒れて、素敵な男性、それも白馬の騎士みたいな…」
久良枝は、毎回毎回、つくねの醸し出すイメージに茶々を入れた。
「もう… 久良枝ったら…そんなに私を喜劇のヒロインにしたいわけなの?」
茶々を入れられるつくねにしたらたまった物じゃないかもしれない。
「つくね〜、でも何で、今回は単なるフリフリドレスなわけ? ゴスロリとか、
いわゆる『ご主人様〜』なメイドとかじゃないの?」
久良枝はそれでもつくねを質問攻めにする。
「メイドだったら、出会いと言うよりも、むしろ『お手つき』みたいになりそうだし、
ゴスロリは、少々毒々しい少女趣味で、私にはちょっと…」
つくねとしては、自分のドレスの趣味はあくまでも清純派であることを言いたかったつもりだが…
久良枝が鋭い所を突く一言を発した。
「ドレスはドレスでもウェディングドレスは、どうなのよ?」
つくねは赤面状態に急変!
「そ、それ、それ、それそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれそれ……
結婚式にだけ着る超神聖なドレスなのよ、簡単に言わないでよね!!」
つくねの琴線に触れたのは確かなようで、彼女は冷静さを失ってしまった。
つくねが正気に戻る前に、久良枝はもう一、二枚ほど、写真を見て、一声。
「5、浴衣」
つくねの頭には…
<同い年ぐらいの彼氏(多分美形だが顔は見えない)と一緒に歩いているつくね。
『ね、私の浴衣どう?』
『どうって…』
『似合うかしら?』
『うん、結構似合うよ』
『ありがとう』>
と、ありきたりだがロマンティックな夏の風情がよぎっていた。
一方、久良枝は、当然のごとく…
<『そち、ちこうよれ』眉毛の濃い悪代官がお女中を呼ぶ。
『あ〜れ〜』くるくる回る女中。
いったん全部帯がほどけたかに見えるがさにあらず、逆方向に回すと元に戻る。
『あ〜れ〜』再度回る女中。>
「あ〜れ〜くるくるくるくる」と、つい、久良枝も口にしてしまった。
つくねは、呆れた眼差しをもって、
「それは浴衣と違うでしょ」
と久良枝の浴衣および着物ネタに関する妄想にツッコミを入れる。
瞬間の静寂…
そして、その静寂をゆっくりと破るように、つくねのツッコミに久良枝が答える。
「いや、つい面白そうだったので」
つくねは、呆れて、
「も〜」とがっくりした様子になった。
久良枝は、ちゃっかり次の写真に手を出して一言。
「6、水着」
久良枝は驚いた様子で、
「あら、ここまで作ったの」
つくねは、微妙に照れと自慢を表情に出した。
「もしかして、プールとか海とか行くことあるじゃない、その時…」
久良枝もやはりつっこみたくなり…
「つくね、あんたスタイルいいから何も(ry)」
つくねは、久良枝が最後まで発言することをここでは許さなかった。
ドタバタが一通り収まり、久良枝は一冊の文庫本をつくねに渡した。
「あ、青い鳥。つくねのでしょ」
つくねは思い出したようにこの本を受け取り、カバンの中に戻した。
「あ、ありがとう。どこで落としたのかな…」
そう言いつつ家路につく、つくね。
つくねが教室から出たのを確かめて、久良枝はひとりりごちた。
「(落とし物の本は司君が拾ってくれたんだけれどね。まあ、秘密にしてと言われたから、あえて、つくねには他には何も言わなかったんだけれども)」
第2話・終わり
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