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WHITE SNOW
第3章 告白

嘉村健(text)  きよはる(Illust)

「それで勝手に授業を抜け出してきた訳ですか……この子を抱えて」

 白衣を着た叔父の智也さんは少し考え込むようにして苦笑いする。

「頼むよ智也さん! こいつをどうしても助けたいんだ!」

「雄太君、子供の時と全く変わってませんね……もちろん助けますよ。獣医ですからね」

 智也さんは笑って言うものの、診療台に横たわるウサギのうさ子に俺は不安を覚えずにはいられなかった、

「智也さん……うさ子は……!?」

「大丈夫ですよ……軽い脱水症状ですからね。すぐによくなりますよ」

 俺は思わず安堵の溜め息をつき、智也さんが用意してくれた椅子に腰を下ろす。

「そういえば前に助けたウサギもうさ子さんという名前でしたね……今度は何処のウサギさんですか?」

 不思議そうに聞く智也さん。

「友達が飼っていたウサギだよ……偶然にも同じ名前だった……だから助けたくなったんだよ」

「そうですか……それならその友達に言っといてくださいね」

「何を……?」

「ちゃんとエサと水はとらさせてあげてください……エサと水をやればこんな事にはなりませんからね」

 当たり前だ……うさ子はずっと助けを呼ばずに飲まず食わずで体育館倉庫に居たのだ……ずっと一人で……

「後は頼みます……智也さん……」

「雄太君!?」

 俺は逃げるようにして智也さんの動物病院を後にした。



「良かった……ちゃんと迎えに来てくださったんですね雄太君」

 俺は寝息を立てているウサギのうさ子を抱き締める。

「当たり前だろ……もう良くなったのか?」

「今はおとなしく寝てますが、もう動き回れるぐらい元気になったんですよ」

「連れて帰っても大丈夫か?」

「もちろん」

 俺は寝息を立てているうさ子を自分のベッドに寝かせてやる。

 あれからうさ子はずっとウサギのままだった……もう人間になる事はないかもしれない。

「うさ子……ごめんな……」

 俺はうさ子を撫でてやると、いつの間にか眠気に襲われていた。

「きゃあああっ!!?」

 突如、悲鳴が聞こえてきたのはしばらく経ってからだった。

「ん? ……うさ子!? なんて格好してんだ!?」

 そこには真っ裸で胸を恥ずかしそうに両手で隠すうさ子の姿があった。

「あの……ここどこです?……どうして雄太さんと……?」

 透き通った白い肌に脚線美……そしてふくよかな胸……それは人間と思えない美しさがあった。

「いや……その……」

 すごく気まずい雰囲気があるが……

「あの……雄太さんがこの部屋に連れてきたんですよね?」

「確かに俺が連れてきたんだが……これには訳が!?」

 俺はうっかりしていた。考えてみればウサギになった途端、制服が落ちたんだ……当然に裸の状態にもなる。

「気持ちは嬉しいんですけど……まだ心の準備が……」

 うさ子は何か勘違いしてるのか、熟れた果実のように真赤に頬を染める。

 俺は手近にあった制服のYシャツとズボンを放り投げる。

「それでも着とけ! 寒いだろ!」

「雄太さん……何で私をこの部屋に連れてきたんですか?」

「お前がずっとウサギの姿だったからさ……俺にも責任があるし……せめて一緒に居てあげようと思っただけだよ」

「今日の雄太さんはすごく優しいです……もしかして……もう私の処女を奪っちゃいましたか!?」

 なぜか動揺するうさ子。

「バカ野郎! お前となんか……」

「こんなウサギじゃ駄目ですか? 私は本当に雄太さんの事が大好きなんです……もちろん私はウサギですけど……性行為もできますし……望めば子供だって……」

「だいたい話が飛びすぎなんだ……付き合う気はねえって言ってるのにそんな話ばかりするなよ!」

「やっぱり雄太さんは私じゃ駄目なんですか……」

 しょんぼりするうさ子に俺はとびっきりの笑顔でこう言ってやる。

「でも……友達からの付き合いだったら考えても良いかもな」

「雄太さん!」

 裸で飛びつくうさ子に思わず呆然となった。

「バカ野郎! 裸で飛びつくな!」

 それから俺とうさ子の関係がどうなったかは……俺達だけの秘密だ。



  ―――  終    
 
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